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酷暑・残暑の中でも気持ちよくお出迎えしたい。「濡れないミスト」が支えるこれからの新しいおもてなし
大阪・道頓堀の街を歩けば、誰もが一度は目にする「動くかに看板」。その足元にある「かに道楽 道頓堀本店」では、連日多くのお客様が行列をつくり、順番を待つ光景が見られます。
年々厳しさを増す夏の暑さと残暑。楽しみにご来店されたお客様が強い日差しの下で待つ間、辛そうにされていたり、汗やメイク崩れのケアを気にされている様子に、お店のスタッフの方々は心を砕いていました。
「並んでいる間も、少しでも涼しく快適に過ごしてほしい」。そう考えたお店は、行列の上にミストを設置することを検討されていました。しかし、そこには「涼んでほしいけれど、一般的なミストではお客様の大切なお召し物や髪を濡らしてしまう……」という大きな葛藤がありました。
そんな「かに道楽 道頓堀本店」の想いに、技術の力で応えたのが「濡れないミスト(Non Wet Mist)」導入プロジェクトです。
この記事では、昨年の万博で話題を集めたファインバブル技術が、どのように行列の暑さ対策という現場の課題に応えることになったのか。サイエンス技術部門の技術者・三笠へのインタビューとともに、施工の裏側と現場の笑顔のストーリーをお届けします。

万博で話題を集めた技術がかに道楽の店頭へ! 老舗の景観に溶け込む「濡れないミスト」のこだわり
多くの人が行き交う道頓堀の賑わいの中、「ミストを浴びていて涼しいのに服や髪が濡れない」心地よい空間が誕生しました。それを支えているのが、サイエンスが長年追求してきたファインバブル技術です。シャワーヘッド「ミラブル」をはじめ、高い安心感が求められる医療・介護現場や万博など、さまざまな現場で実績を重ねてきました。
今回の「濡れないミスト」は、塗装スプレーの霧化技術や独自ノズル技術を応用し、髪の太さよりもはるかに小さい数μm(マイクロメートル)という超微細なミストの中に、目に見えないほど小さいウルトラファインバブル(約0.1μm)を含ませた先進技術です。
一般的なミストのように水の量を絞って濡れにくくするのではなく、十分な水量を維持したままミストを可能な限り細分化して噴出するため、水滴が肌や衣服に触れた瞬間にスッと蒸発し、周囲の熱をしっかり奪って冷やしてくれるのです。

実際の実験データを見てみると、ミストを浴びてからわずか30秒で、表面温度が下がっているのが一目瞭然です。

※計測条件 外気温:25℃ 計測距離:1.5m 噴霧時間:30秒 噴霧距離:50cm 位置関係:ノズル真下
「しっかり涼しいのに、服や髪が濡れずにサラサラとした心地よさが続く」という、お出かけ中にはまさに“願ったり叶ったり”なお出迎え空間を実現しています。
このプロジェクトに技術者として深く携わったサイエンス商品本部 開発部の三笠は、かに道楽からご相談を受けた当時の背景をこう振り返ります。
三笠:「かに道楽様では、以前にミストを設置された際、どうしても周囲が濡れてしまい、店頭の動く看板などの機械設備へ水がかかるリスクを懸念して取り外されていた経緯がありました。そこで『大切な設備を守りつつ、並んでいるお客様や店頭のスタッフを少しでも快適にしたい』とご相談をいただき、プロジェクトがスタートしたのです」
歴史ある「かに道楽 道頓堀本店」の洗練された雰囲気や景観を損ねないよう、設置位置やノズルの向きなど、細部まで丁寧に調整を重ね、今年の夏から店頭で稼働しています。
「冷たい! なのにサラサラ!」看板の下で生まれた驚きと喜びの瞬間
この夏、道頓堀のシンボルでもある「動くかに看板」の下で「濡れないミスト」が動き始めると、店頭にはこれまでにない驚きとたくさんの笑顔が広がりました。
連日の暑さの中、お店の前で順番を待つお客様や通りかかる方々がミストにふっと触れると、「ひんやり気持ちいい」「えっ、でも濡れてない!」と思わず声を上げて笑顔に。
暑さで少し険しくなりがちだった待ち時間が、涼しさと驚きに包まれる「道頓堀ならではの楽しい思い出のひととき」へと変わっていったのです。
現地で稼働を見守っていた三笠も、導入後の現場の反響についてこう語ります。
三笠:「導入後、現場の皆様からも大変ご好評をいただいています。かに道楽様からは『今は行列を作るお客様の方向をメインに向けていますが、店頭で立ち働くスタッフ側にもあのミストが欲しいという声が現場から上がっているんですよ』と、嬉しい手ごたえを伝えてくださいました」
風と熱気を読み解く——過酷な環境に挑んだ現場チューニング
実は、今回のかに道楽 道頓堀本店への導入にあたっては、歴史ある老舗だからこそ直面した技術的な挑戦や苦労があったと三笠は明かします。

三笠:「かに道楽様が位置する場所は、周辺からの熱気や川からの風が複雑に入り混じる過酷な環境です。そのため、風でミストが散ってしまわないよう現地へ何度か足を運び、風圧やノズルの角度をきめ細やかに現場調整(チューニング)しました。現場の環境に合わせた丁寧な個別調整を行うことが、私たちの大きなこだわりです」
現地の環境に真摯に向き合う目に見えない細やかなこだわりが、お店の美しい景観に溶け込みながら、訪れるお客様に心地よい涼しさを届ける空間づくりを支えています。
単に涼しさを届ける設備という枠を超えて、「涼しさを届けながら、お客様の身だしなみは崩さない」という新しいおもてなしの形が、道頓堀の街で静かに広がっています。
風や熱気を計算して調整するなんて、深いこだわりを感じるでスー!
『冷たいのにサラサラ』な体験、試してみたいでス~。
現場の使いやすさと安心のために。多くの試作・検証が支える「見えない配慮」
お店を訪れるお客様が快適に過ごせることはもちろんですが、実はこのミスト、現場で働くスタッフの方々への優しい配慮も隠されています。
かに道楽 道頓堀本店のように連日多くのお客様で賑わうお店では、毎日の業務は大忙し。
「新しい設備を入れることで、操作やお手入れの手間が増えてしまうのでは……」
という現場のリアルな不安に寄り添うことも、プロジェクトの重要なテーマでした。
日々安心・安全に運用してもらうため、サイエンスの設計チームはミリ単位の構造やノズルの調整に一切妥協しません。設計を担当した三笠は、その裏側にあるものづくりへの情熱をこう語ります。

三笠:「ノズルの角度や微小なサイズのズレひとつで、バブルの発生や水の広がり方は大きく変わってしまいます。だからこそ、自社の3Dプリンターで多くの試作品を作っては検証を重ねて、理想の形状を追求しました。現場で長く安心して使っていただけるよう、うまくいかない部分をひとつずつ潰していく愚直な作業の繰り返しでしたね」
こうした見えない細部へのこだわりこそが、日々の扱いやすさや耐久性を支えています。単なる冷却設備としてではなく、働く人たちの毎日に寄り添い、営業を陰で支える存在でありたい——そんな技術者たちの温かい想いが、現場での運用のしやすさという形になって根付いています。
約300個も試作を重ねたノズルには、並ぶお客様だけじゃなく、お店でがんばるスタッフさんへの優しさも詰まっているでスー!
異業種パートナーとともに。広がるファインバブル技術の新しいかたち
サイエンスのファインバブル技術は、人々の暮らしや日常の困りごとに寄り添いながら常に進化を続けています。
今回のかに道楽 道頓堀本店とのプロジェクトをはじめ、異業種のパートナー企業とともに新たな価値を生み出す取り組みについて、三笠はこう語ります。
三笠:「サイエンスはご家庭向けの製品が主軸ですが、今は異業種のパートナー企業様との共同開発案件も増えていて、すごくやりがいを感じています。サイエンス単体では思いつかなかったり技術的に難しかったりした領域で、新しいものづくりに挑戦できることに、技術者として新たな楽しさを実感しているんです」
「行列を作るお客様に、濡れずに涼しく過ごしてほしい」というお店の温かい想いと、それに寄り添う技術者の情熱。異業種パートナーとともに歩むことで、ファインバブル技術はこれからもさまざまな領域で、暮らしや社会に新しい心地よさを届けていきます。
道頓堀を訪れる機会があれば、ぜひ「動くかに看板」の下で、ひんやりサラサラな“濡れないミスト”のやさしい涼しさを体感してみてくださいね。
※「ファインバブル」「ウルトラファインバブル」「FINE BUBBLE」は、一般社団法人ファインバブル産業会(FBIA)の登録商標です。




