ファインバブル技術で実現する、サステナブルな農業とは? 

2025.10.03 ミラブルテクノロジー

シャワーヘッドだけじゃない? 意外なところでファインバブル技術が大活躍!

直径が100μm以下の微細な泡、ファインバブル。これはISOによって国際標準規格に規定されているもので、大きさによって1~100μm未満のマイクロバブル、1μm未満のウルトラファインバブルの2種類に分けられます。

ファインバブルは皮膚の汚れに吸着して浮き上がらせたり、毛穴の奥まで入り込んで汚れを剥離する効果が知られ、ファインバブルを生成できるシャワーヘッドで一躍脚光を浴びました。そのため「ファインバブル=美容・洗浄」のイメージを持っている人が多いのですが、じつは医療、住宅、食品などさまざまな分野で活用が進んでいるのです。

例えば私たちの生活で日常的に使われているマヨネーズにその技術が応用されたり、PCやスマートフォンで使われる半導体のシリコン加工で用いられるなど、見えないところでファインバブル技術が活躍しています。なかでも近年は、農業分野において成長促進や品質向上を目的としたファインバブルの活用が注目されています。

レタスがより速く成長し、しかも美味しくなっていた!?

ウルトラファインバブルが植物の生育にどう影響するかを調べた実験では、レタスの水耕栽培を実施。栽培に使用する水をマイクロバブル水・ウルトラファインバブル水・水道水の3種類に分けて、同時に植え付けたレタスの成長を観察しました。

するとウルトラファインバブル水で栽培された重さ約1.4倍、根の深さは約1.3倍、根の重量は約1.4倍となり、水道水よりも有意に成長が促進されていることが示唆されました。

出典:大阪公立大学PFCサロン成果報告会資料

またそれぞれの条件下で収穫されたレタスの糖度を測定してみると、ファインバブル水で栽培されたものは水道水栽培のものより糖度が上がっただけでなく、苦みやえぐみが少なく感じられることがわかりました。

これらの結果の背景には、ファインバブルによる水中の酸素濃度、そして気泡の細かさが根の吸収に影響を与えているのではないかと考えられています。

出典:大阪公立大学PFCサロン成果報告会資料

万博で話題を呼んでいる「アクアポニックス」とは?

このようなファインバブル技術への農業貢献の可能性をさらに追求するため、サイエンスは2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)の「大阪ヘルスヘアパビリオン」で、アクアポニックス「いのちの湧水(いずみ)」に出展参加しました。

アクアポニックスとは、水産養殖を意味する「Aquaculture」と水耕栽培を意味する「Hydroponics」を組み合わせた循環型の食糧生産システムのこと。魚の養殖において、魚の排泄物やエサの食べ残しに含まれるアンモニアやリンは水槽の水質汚染の原因であり、適切な処理と管理が必要です。

アクアポニックスはこのアンモニアやリンが微生物に分解されると植物の養分となることに着目し、水槽の水を野菜の水耕栽培に用いています。野菜は水中の養分を吸収するため水質が浄化されるので、魚にとって快適な環境が保たれるのです。

水はぐるぐると水槽と野菜の間を循環しているため、節水しながら魚と野菜を育てるアクアポニックスは地球にやさしい究極の循環型農業と言われています。

 

自然の仕組みを活用した持続可能なこの農業システムは、未来食糧問題・水問題への解決策として注目されており、サイエンスは魚の養殖水槽システムを担当しファインバブル技術による酸素供給が活躍しています。

 

 

宇宙空間でもファインバブル技術の活用に期待!

さらに驚くことに、アクアポニックスは宇宙での活用も期待されています。長期滞在中の宇宙飛行士は地上から輸送された宇宙食を食べて生活していますが、宇宙に物資を輸送するのは非常にコストがかかります。そこで食糧の自給自足の手段として、アクアポニックスが活用できないかと研究が進められているのです。

現在進行中の国際月探査プロジェクト「アルテミス計画」を見据え、2024年にはJAXAが主催する「月面フードシステムワーキンググループ」では、アクアポニックスをテーマに専門家の間で議論が交わされました。水の輸送や物質・気体のバランスなどまだ課題は多いものの、微小重力実験で魚の成育を観察するなど、いまも研究が行われています。ファインバブル技術が宇宙で活用される未来も、そう遠くはないのかもしれません。

ファインバブルって美容や健康だけでなく、あらゆることに活用できるのでスー!宇宙でも使われるなんて、これからどんな技術が生まれるかワクワクするでスー!

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