データで見る、ミライ人間洗濯機への反響 ―来場者の声と開発者が語る技術の未来―【前編】体験データと開発の舞台裏

2025.11.17 インタビュー

2025年大阪・関西万博で1,277名の方に体験いただいた「ミライ人間洗濯機」。入浴後のアンケートでは高い満足度を記録し、驚きと期待に満ちた多くの声が寄せられました。この新しい入浴体験の実現には、サイエンス専務取締役・平江 真輝をはじめとする開発チームの長年の研究がありました。特に、大阪大学 産業科学研究所 准教授の神吉 輝夫先生との共同開発により、ファインバブル技術と生体計測技術を融合させた「体も心も洗う」というこれまでにない価値が生まれました。データと体験者の声、そして開発に携わった専門家の視点を通じて、ミライ人間洗濯機の魅力と可能性を、前編では「開発・万博の現場」に焦点を当ててご紹介します。

データが証明する、ミライ人間洗濯機の成功

大阪・関西万博における大阪ヘルスケアパビリオンの入場者数は553万人、うちミライ人間洗濯機入浴者数は1,277名となりました。2025年4月から10月までの約半年間で千名以上の方に、サイエンスのミラブルテクノロジーを体感いただけたことになります。
入浴体験者の男女比率はほぼ半々、幅広い年代の方に体験していただきました。入浴後のアンケートでは、大満足、満足との回答が98.3%となり、大多数の方にご満足いただけた結果となりました。

1,277名もの人がミライ人間洗濯機を体験したなんてすごいでスー!

また、入浴後の感想では以下のような声をいただきました。これらのデータや生の声から見えてくるのは、サイエンスがミライ人間洗濯機の開発で目指した「体も心も洗う」という新しい価値を、多くの方にしっかりと実感していただけたということです。

肌がすべすべになる効果
「肌はすべすべ。クリーム不要でした」
「お湯も気持ちよく、思っていた以上にスベスベになっていました」

未来的・異次元の体験

「宇宙船に乗ったような気分でした」

「異次元の世界、今までに感じたことのない世界を体験しました」

介護・福祉への期待

「身体を洗いづらい方たちの助けになればとても嬉しいです」 

「介護の現場で使用できる日が来ることを楽しみにしています」

予想を超えるリラックス効果

「自分が思っているよりリラックス効果が高かったです。心が弱っている方にも効果があるのではないかと思います」

各家庭への普及を望む声

「一般家庭でも当たり前に使えるようになったらいいなと思います。未来が楽しく過ごせそうです」

「お風呂と言えば、面倒な身体洗いやシャンプーの工程がありますが、そういった習慣が必要なくなる未来がとても面白いと感じました」

15分間の体験でココロもカラダもすごくリラックスできたでスー!

開発者の想い ―平江が語る、集大成の瞬間―

サイエンスの技術部内を統括する平江に、万博でのミライ人間洗濯機に関わるエピソードを聞きました。

―開発を経て、実際に万博会場にミライ人間洗濯機を設置した時のお気持ちを教えてください。

この時はまだ、とにかく会場での工期があまりにも短い為、とにかく手戻りなくスムーズに設置して試運転期間を確保することが何よりも急務でしたので、焦りと抜けがないことの確認に確認を重ねていた不安部分に加えて、これから始まる万博に際して、ミライ人間洗濯機に「頑張ってくれよ」と励ましていました。

―設置作業で苦労した点などについて教えてください。

パビリオンや他の工事との調整ですね。また無線通信を使用する機材が他の機器からの影響を受けることがわかりその対処に苦労しました。

―万博開幕初日の、ミライ人間洗濯機への来館者や体験者の反応はいかがでしたか?

体感して頂いた方々の評価が想像以上に高く、見て頂いている来館者の笑顔と合わせて、パビリオンの関係者やアテンド、警備員の皆様、また他のブースのスタッフからミライ人間洗濯機の人気がすごいと、業務の大変さも増す中でお声をかけて頂いたことが、この反応はすごいことになると予感させられました。

―千名を超える方が入浴体験をされました。想定外のトラブルなどもあったかと思います。

やはり、スタッフ操作上のヒューマンエラーや体験予定者や来館者とのやり取りの中で発生する誤解、誤認は覚悟しトラブル対応をしていましたが、人気が出たことによる警備人数の不足や、他のブースへの混雑影響は想定外でした。もっとも想定できていなかったことが、2階のパビリオン予約体験の通路から身を乗り出してミライ人間洗濯機の実演見学や撮影をされることで、転落やスマホの落下などへの注意喚起が必要となり、声掛けや注意看板を設置することになったことです。もっとも焦ったトラブルは、結果誤報でしたがパビリオン内の火災報知器が作動した時で、ちょうど体験者が入浴中でしたので、来場者の誘導と体験者の運転停止からの案内誘導をしなければと急ぎ判断し、指示を出しました。

平江 真輝プロフィール

株式会社サイエンス専務取締役。

造船研究を経て、水流を活用した健康機器を開発するように。船のスクリューではデメリットとなる「泡」や「キャビテーション」をメリットと捉え、ヘルスケアに活用する逆転の発想により数々のヒット商品を生む。2010年サイエンスに入社、日々ファインバブルの研究開発に携わりながら、開発から生産管理までを一手に担う。令和7年度 知財功労賞(大阪・関西万博特別賞)受賞へと技術面で寄与。

専門家の視点 ―神吉准教授が語る、技術的挑戦―

ミライ人間洗濯機の共同開発を行った大阪大学 准教授の神吉 輝夫先生にお話をうかがいました。背面に設置したセンサーで、入浴者の心拍数や自律神経の状態を測定し、リラックスやストレスといった心身の変化を可視化する研究を進め、その技術がミライ人間洗濯機に生かされています。

共同開発への参加

―サイエンスから「ミライ人間洗濯機」の共同開発の提案を受けた時、最初にどのようなことを思われましたか?また、参加を決断された理由は何でしょうか?

1970年には実現できなかった技術を、現代のファインバブル技術と私たちが持つセンシング技術を統合してリバイバルするという提案に、非常に強い興味を持ちました。学術研究の立場から見ると、センシング技術の研究は行っていても、それを社会実装する機会は極めて限られています。人間の日々の細かな変化を捉える基礎研究の分野自体がまだ少ない中で、入浴時間という、日常生活に溶け込むデバイスとして実装できる機会は貴重でした。

また、一般の方々に実際に体験していただけるという点も魅力的でした。1970年代はモデルの方が入っていましたが、今回は本当に一般の方に入っていただくわけですから、正直なところ怖さもありました。しかし、だからこそ技術的な挑戦のしがいがあると感じたのです。

インタビューに応じる神吉准教授

開発過程での技術的挑戦

―専門家から見て、ミライ人間洗濯機の開発における最大の技術的難易度はどこにありましたか?

通常の心電計の回路では、安静状態では綺麗にデータが取れるのですが、被験者が動いた途端にノイズだらけになってしまうんです。綺麗にデータを取得するためには、ノイズを含めた環境に合わせて回路自体を工夫する必要がありました。

この技術については、大阪大学として特許を取得しています。ノイズは視覚的には認識できるのですが、プログラムで心拍データだけを正確に抽出することは想像以上に困難でした。最終的に開発したこのプログラムは、大阪大学とサイエンスの共同知的財産として出願しています。

特に現場では、みぞおちあたりまでしかお湯が入らない設計だったため、胸まで水が入らない関係でノイズが入りやすくなるという課題がありました。開幕ギリギリまで機械の調整を行っていたのですが、1〜3月の極寒の中、会場で水を使って震えながら調整を重ね、現場でお湯の量を細かく調整していました(笑)。

技術的なブレイクスルーとして特筆すべきは、非接触で電気信号を測定できるようになったことです。ウェアラブル機器は身につける必要がありますが、この技術では入浴中に非接触でデータが取れるようになりました。一方、リボーン体験の方は光を使った画像判定技術を採用しています。

神吉 輝夫准教授プロフィール

大阪大学 産業科学研究所 准教授。

生体機能を模倣したエレクトロニクス材料・デバイスの研究に従事。物質科学とバイオミメティクスを融合させ、超省エネで動作するシナプティックメモリやセンシング材料の開発を目指す。応用研究では独自技術によるバイタルサイン計測手法や、五感刺激を用いたリラクゼーション機器を企業と共同開発。「人に自然と馴染むやさしいテクノロジー」の実現を追求している。

神吉准教授のお話をもっと聞きたいでスー!

98.3%が満足、データと技術が証明した成功

大阪・関西万博で1,277名が体験し、98.3%が満足と回答したミライ人間洗濯機。

この成功を支えたのは、サイエンス専務取締役・平江の開発チームと、大阪大学准教授・神吉先生との共同開発における挑戦の数々でした。ファインバブル技術と非接触生体計測技術の融合により、「体も心もカラダもココロも洗う」という新しい価値を実現したのです。

1970年の万博で披露された「人間洗濯機」が、現代の最新技術を搭載し、「カラダもココロも健康になる」という次世代型の入浴を形にした前編。

【後編】では、この技術が切り拓く未来の可能性について、さらに深く掘り下げます。

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